サービス更新:2022年11月
FTXによる衝撃がまだ残る中、11月はこの業界とって混沌とした月となった。しかし、この出来事をきっかけに透明性を高めるべく取引所によるプルーフ・オブ・リザーブ(Proof-of-Reserves)という新たな取り組みが始まった。
デジタル資産を取り巻く環境の透明性を向上させるために、すべてのユーザーが無料で利用できる新しいプルーフ・オブ・リザーブ指標一式とダッシュボードを発表した。今月の指標、コンテンツ、製品リリースの概要は以下のとおりである。
・今週のオンチェーン ニュースレター(4件):FTXの崩壊とその後の影響について解説している。
・スタジオによる新しい指標(4件):新たなプルーフ・オブ・リザーブの指標一式とサイズ別の取引所ネットフローを取り上げている。
・ダッシュボード(6件):新しいプルーフ・オブ・リザーブ・ダッシュボードと、エンティティ/アドレスの活動度、売却動向、HODL波動、ライトニングネットワークダッシュボードの更新を含む。
・ワークベンチの構成(33件):取引所、コイン寿命、マイナー、エンティティ、市場および経済指標に至るまで、多数の指標を含む。
・新しいマーケットパルスレポート(2件)は、FTXの崩壊に対する長期保有者の反応や、金融ストレスとステーブルコインの購買力との関係を分析している。
11月はFTX(WoC46)の破綻によってデジタル資産業界全体が揺さぶられ、記憶に残る月となった。二時的波及から歴史的な規模の巻き戻しが起こり、価格は15,661ドルという新サイクルにおける安値まで押し下げられた。
価格は2018年の強気相場で最後に見られたレベルまで下落し、古き手とクジラの間で不確実性が大きくなった(WoC 47)。そのため、相場は大きな含み損を抱えたHODLerの一部によって動機づけられた。しかし、長期保有者の痛みの大部分は、現在のサイクルのLTHによって実現されており、-60%以上の損失を抱えていたことが明らかになった。
FTXの崩壊は、歴史上最大のキャピチュレーションイベントの1つと見なすことができる(WoC 48)。過去6ヶ月以内に経験した資本損失における絶対的な規模に匹敵するものはほとんどなく、活発に取引されているコイン供給によって保有されている現在の未実現損失は、事実上史上最低の水準にある。これは、2015年と2018年のベアサイクルの急激なピコボトムに匹敵するものである。
今週のオンチェーン ニュースレターの更新
- WoC #45: ゆっくりと、しかし確実に (レポート・ビデオ)
- WoC #46: FTXの没落 (レポート・ビデオ)
- WoC #47: クジラと古き手の中の不確実性 (レポート・ビデオ)
- WoC #48: キャピチュレーションの特徴 (レポート・ビデオ)
Glassnodeでは、データに基づく洞察がデジタル資産市場における最大の疑問の多くに答えてくれると信じている。そのため、文脈を理解するのに役立ち、コアとなる疑問に答える5件のダッシュボード一式と、全てのユーザーが無料で利用できる新しいプルーフ・オブ・リザーブ指標をリリースした。
・プルーフ・オブ・リザーブ - 取引所残高の透明性を向上させる。
・エンティティの残高変化 - ウォレットコホートごとのネットポジションの変化。
・アドレスコホート - ウォレットコホート別のアドレス数と毎月の変化。
・HODL波動ダイナミクス - 時系列でHODLingの挙動をモデル化。
・売却ダイナミクス - HODL波動ダイナミクスに対する売却動向。
・ライトニングネットワーク - ビットコインが牽引するレイヤー2を探索するファンダメンタル指標。
新しいプルーフ・オブ・リザーブ指標一式:
複数の主要取引所やレンディング企業がシステミックな債務超過に陥ったことを受け、業界全体の透明性を高めることにフォーカスした一連のプルーフ・オブ・リザーブの指標を公開した。
取引所:
この指標は、取引所のネットフローをトランザクションサイズ別に分類したもので、トランザクションサイズは<$10kから$10M超までの範囲にある。この指標は、取引所の指標やウォレットのコホート指標と組み合わせていることで、エンティティの行動における全体像を把握するために使用できる。
マーケットパルスは、Glassnodeチームによる新しいレポートのシリーズで、Glassnodeフォーラムの上級会員とプロフェッショナル会員にのみ提供されている。マーケットパルスレポートは、パワーユーザーとしてGlassnodeの一式に対して価値を最大化する方法についてのユニークな洞察を提供している。オンチェーンや市場のコンセプトにおける創造的、技術的、教育的な要素を探求し、特筆した段階的なワークベンチのデモストレーションやガイドを添えている。
マーケットパルスの公開
・FTXの崩壊に対する長期保有者コホートの反応の評価(フォーラムの投稿)
・金融ストレスとステーブルコインの購買力(フォーラムの投稿)
以下のチャートは、金融ストレスと購買力の関係を探ることで、トップとボトムの形成を高確率で見極めることを試みている。これは参加者が深刻な収益性ストレスを経験しているにもかかわらず、ステーブルコインの需要が増加していることを定義づけることができる。このロジックはトップ形成の場合は逆となる。
ワークベンチは、あなたのビットコインやイーサリアム、暗号市場の分析を向上させるために、指標のカスタムと描出することができる我々の最高のツールである。今月、我々は新しいワークベンチコンストラクションをリリースした。
コイン寿命:
・ビットコイン:最後のアクティブから6ヶ月未満の若いコイン供給
・ビットコイン:最後のアクティブから6ヶ月を超えた古いコイン供給
・ビットコイン:古いコインの供給のネットポジション変化
・ビットコイン:若いコインと古いコインの供給の割合
・ビットコイン:古いコインの売却数量
・ビットコイン:若いコインの売却数量
・ビットコイン:古いコインと若いコインの売却数量の比較
・ビットコイン:最後のアクティブから5年以上経過した非常に古いコインの供給
・ビットコイン: 最後のアクティブから5年以上経過した非常に古いコインの売却数量
取引所:
・ビットコイン:取引所の平均出金額(年別)
・ビットコイン:取引所の平均出金額(取引所別)
・ビットコイン:クジラと取引所
・ビットコイン:取引所の平均流入量(取引所別)
・ビットコイン:コインベースの残高・ネットポジション変化
・ビットコイン:Binanceの残高とネットポジション変化
・ビットコイン:Bitfinexの残高とネットポジション変化
・ビットコイン:FTX の残高とネットポジション変化
・ビットコイン: Kraken の残高とネットポジション変化
・ビットコイン: Gemini の残高とネットポジション変化
・ビットコイン: OKEx の残高とネットポジション変化
・ビットコイン: Bittrex の残高とネットポジション変化
エンティティ:
・エビのネットポジション変化
・カニのネットポジション変化
・サカナからサメまでのネットポジション変化
・サカナのネットポジション変化
・サメのネットポジション変化
・クジラから取引所へ入金または出金におけるネットポジション変化
マーケット指標:
経済指標:
・トランザクション数のモメンタム
・取引件数のモメンタム(エンティティ調整済み)
・送金量のモメンタム(変化率調整済み)
・送金量のモメンタム(エンティティ調整済み)
マイナー:
今月のコンストラクション:最後のアクティブから6ヶ月を超えた古いコイン供給
このグラフは、最後のアクティブから6ヶ月を超えた古い BTC 供給量 🟦を示している。
我々の調査によると、少なくとも5~6ヶ月間取引されていないコインは、任意の日に使用される可能性も非常に低くなっている。このコインのコホートは、しばしば古いコインまたは長期保有者と呼ばれる(当社によるエンティティ調整済みプロフェッショナルバリアントの場合)。
この広範なコインのコホートは、市場サイクルに沿って膨張したり収縮したりする傾向がある。
・弱気な市場トレンドの間は、通常古いコインの取引高が増加↗️する。これは、新規投資家や投機家から忍耐強い長期投資家(HODLer)へコインの富が移転することを反映している。これは、アクティブな供給量の減少を意味し、しばしばチェーン上の経済活動の低下と関連している。
・強気な市場トレンドの間は、通常古いコインの取引高が減少↘️する。これは利益を得て、コインの富が長期投資家から新規投資家や投機家へと移動するためである。これは、活発な供給量の増加を意味しており、オンチェーン経済活動の上昇と関連することが多い。